考えすぎてしまう自分を改善するための方法【「考えすぎない」人の考え方】

自己啓発

考えすぎてしまう。
心配性で、不安症なあなた。そして、僕。

そんな人が一度は考えたことがあるであろう「考えすぎてしまう」という課題。

考えすぎても仕方がないと分かっていても、考えすぎてしまう。どうすれば考えすぎずに済むのだろう?と、また考えてしまう。

そんな考えすぎにどう向き合えばいいのかを解決するヒントとなる「「考えすぎない」人の考え方」という本がありましたので、その内容を交えつつ「考えすぎないようにするには?」という問いの答えをまとめたいと思います。

結論から言うと、”不安とどう付き合うのか”に鍵があるようです。

引用元・参考元書籍
タイトル 「考えすぎない」人の考え方
概要 世界中の研究機関の研究で明らかになった「考えすぎない方法」を全45のアクションで紹介!「行動を最適化」し、よりよい行動をとるための方法をわかりやすくお伝えしていきます。
著者 堀田秀吾
 

明治大学法学部教授。法と言語科学研究所代表。

専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、神経言語学、法言語学、コミュニケーション論。

研究においては、特に法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学、脳科学など様々な学術分野の知見を融合したアプローチで分析を展開している。

amazon評価(記事執筆時点) ★★★★☆(4.0/5)

なぜ考えすぎてしまうのか

結論は「不安」

第一章の始まりにこのような記述があります。

「進化心理学」という学問では、人間の行動原理をこう説明しています。人はみな「不安」によって動くと。

これが人間が考えすぎてしまう根本原因なのだそうです。

 

人類は不安があるからこそ生き延びてこれたらたとも言います。暗闇を見て、獣がいるのではないか?この先は崖ではないか?明日は天気が悪いのではないか?色々なことを想像し、不安になる。その不安を解消するために準備したり、行動したりを重ねて生き延びてきました。

先祖が臆病で不安いっぱいだったから生き延びて、その子孫が我々なのですから、不安になるのは当然のことですし、そんな不安が行動の源なのも当然です。

ただ、現代は感じている不安の強さほどの危険が身の回りに存在していません。

獣が街をうろついているなんてことはないし、地図にない場所もそうそうありません。たいていのことが解決可能ですからそれほど強く不安を感じるなくてもいいのに、脳はだからといって急に不安を感じなくなるわけではありません。

それでも不安を見つけてあれこれと想像し、先回りして解決しようとします。

これが”考えすぎ”と呼ばれる状態のようです。

実感している不安レベル>現代の安全レベル

この構図によって”考えすぎ”と呼ばれる状態が生まれているようです。

 

じゃあ、不安を消せばいいのか?となるとまずそんなことはできないし、不安は不安で意味があるからこそ存在しているのだから消したら消したでマズいことが起きる。

だから、不安を消そうとしなくてもいいです。

不安を消そうとするよりも、その不安をどう乗りこなしていくのかを知り、それを実践していくことで”考えすぎ”な自分から卒業することが大切なのだそうです。

考えすぎるを乗りこなしていくためのポイント

不安と上手に付き合うにはどうすればいいのか?という大きなテーマをベースにして、「「考えすぎない」人の考え方」では考えすぎな自分から脱するヒントがTIPS形式で紹介されているのですが、さすがにそれを1つ1つすべて説明するわけにはいきません。著者や出版社に怒られます。

なので、その中からいくつか印象的なTIPSを紹介させていただきます。

やるべきことを先にやる

不安と正反対にある感情は「安心」です。では、人が安心を感じる時はどのような時なのか。その定義は人それぞれだと言えるようですが、人が幸福を感じるために欠かせない条件があるそうです。

それが次の条件です。

「幸福に必要なことは、心身が集中することである」

これはハーバード大学の心理学者のキリングズワースとギルバートさんが研究をした結果分かったそうです。

体はそれをしているけど、意識はどこか違う所に向いている。この状態は幸福を感じることができない状態で、つまり安心を感じていない状態、何か心配事がある状態だということのようです。

でも、他に何か心配事があるときは、それが気になるのも無理はありませんし、不安があると考えすぎてしまいます。

だから、まずは優先度の高いことを終わらせていくことが大切だとされています。

情報を意図的に絞る

情報を多く得ることにはメリットがあると思われがちですが、実体は少し違うようです。
人は情報が多ければ多いほど、判断を間違え、また、選択に後悔しやすいそうです。

逆に、情報を絞り、短時間で判断したほうが後悔せず、また満足度が高い結果を得られるそうです。

その違いを生んでいるのが、情報の優先度にあるようです。

情報が少ない、また短時間で判断しなければいけないほうが、どの情報を優先すべきかを判断し、それをもとにして決定しているので、その判断に後悔の余地が少ない。

情報が多いほど、何を優先すべきかに迷い、捨てるべき情報が何かわからず、どれもこれもと欲張った結果、判断がブレてのぞまない結果になるそうなので、情報を絞ることも考えすぎないためには効果的です。

やる・やらないで幸福度は変わらない

「やるべきか、やらないべきか」を熟考して、自分が望む未来に近づく選択をした。つもりでも、未来を見ると、その熟考が功を奏しているとは限らないそうです。

シカゴ大学の経済学者のスティーブン・レビット氏が、決断できずに困っている4,000人を対象に”コインの表が出たら実行する、裏がでたら実行しない”という実験を持ち掛けて検証したそうです。

その結果、どのような事象に関する決断であれ、コイン投げの結果で”実行する”と出たのでそれに従って実行したという人の幸福度は63%でした。つまり、迷ったらパパっと実行するほうがいいという事なのです。

実行するほうが後々の幸福度が高くなるのなら、迷って考えすぎる時間そのものはそれほど重要ではなかったりします。

「損しないように」という判断が一番損をする

「損しないように」と考え、判断したグループが一番損をした”という研究結果があります。

その研究では、次の3つのグループに分けてその行動を観察する実験を行ったそうです。

  • 間違えても正解しても特に何もない
  • 報酬500円からスタートし、間違えると1回につきマイナス2.5円
  • 報酬0円からスタートし、正解するごとに2.5円ずつ加算される

この実験の結果、マイナスされるグループの正答率が著しく低いということがわかりました。これは、人は”損をするかもしれない”と感じたときに正しく判断できなくなるということであります。

”間違えると報酬が減るから間違えたくない”と考えるチームが一番正答率が低い、つまり一番報酬を逃しているというとても皮肉な結果になっているのですが、これは私たちの日常生活にも当てはまります。

ここで決断をしないと損をする、ここで間違えると怒られる…そういう状況が一番正しく判断ができないのですから、結果的に自身が損をする決断を下してしまいます。

従来の”考えすぎ”とは少し違うようではありますが、考える理由が”損をしたくないから”という理由なら、その思考状況で下す決断は間違えていることが多い、つまり損をする判断をしてしまうことになるので、考えることそのものを辞めて、その状況から抜け出すほうが一番お得ということでもあります。

「損得」で考えると利他的になれない

損得で考えるということでもう1つ。

損得やメリット・デメリットで考えると、他人に対して冷たくなるという傾向がどうしても出てきますので、長期的に見ると大きな損をするという事にもつながってきます。

人が考える時には、必ずそこには「損得」や「メリット・デメリット」などの相反する2つの事象の中で自分が一番得をするにはどうすればいいのか?という状況にあることが少なくありません。

その中で下すベストな決断は、自分が一番得をする決断、一番メリットが大きい決断であることがほとんどです。

短期的に見ればそれが一番得をするかもしれませんが、その決断のあおりをうけて損をしたり、大きなデメリットがあった人がいるかもしれません。そのような人からすれば、「あいつと一緒に行動すると自分は損をする…」と感じることになり、少しずつ距離を置くようになるかもしれません。

そして、自分が困っている時に助けてくれる人がいない孤立状況に陥る可能性が高まります。

「考える」という行為は、自身が得をするため、メリットを最大化するためという目的が土台にあることが大半ですが、それによって被害を被る人が出てしまうリスクも高める性質があります。

あまり考えすぎて、考えを尖らせることは良い事とは言えないようです。

情報の邪推をしない

情報の邪推を意識的に止めることも大切なようです。

例えば、SNSなどを見ていると断片的な言葉の数々が見られます。不完全な一言だけの文言もあれば、間違いだらけの文章もありますが、そういった情報を見て、不完全な部分を自分で穴埋めして邪推するようなことは何も良いことはないので意識的に辞めることも大切なようです。

「もしかして、これは自分への批判では?」とか「他の人もこう思っているのかな?」と思ったとしても、実際そんなことは誰にもわかりません。思っているかもしれないし、思ってないかもしれない。思っていたとしても、それは一瞬のことで今はそう思ってないかもしれないし。

情報を邪推したところで今それを活かせるものは1つもありません。なのに、その邪推を起点にしてあれこれ妄想を働かせても、自分を苦しめるだけです。

だから、情報を邪推しないことも考えすぎないためにはとても大切なようです。

考えすぎる自分を変えるためのポイント

根本的に”考えすぎ”という性格なので、考えすぎることは仕方がないのかもしれない。

そう感じる人も居るかもしれません。考えすぎないためのtips的なものを学んだところで、結局は考えすぎてしまいそうだし…とどこか諦めムードが自分の中にある。

そんな自分自身をもう少し根本的に変えることも、できなくはないそうです。

そしてそれは、次のようなアプローチを用いることで十分に可能なようです。

ネガティブな時にポジティブは逆効果

ネガティブな精神状態にあるときにポジティブに考えようとすればするほど、そのネガティブが余計に強調されてさらにネガティブになるという”バックファイア”と呼ばれる現象があります。

人は、自分が信じたくない情報や、自分に都合が悪い証拠に遭遇すると、もともと持っていた信念を変えるのではなく、むしろそれを拒否して、当初の信念をより強めてしまうことがあります。これをバックファイア効果と言います。このような傾向があるため、しばしば反論は役に立たないばかりか、逆効果となってしまうのです。

バックファイア効果 | 意思決定・信念に関する認知バイアス | 錯思コレクション100

ネガティブな時にはポジティブに考えようとすればするほどネガティブが強調されてドツボにはまりますので、ポジティブ思考を無闇に信じ込んで実行しようとするのは危険なのだそうです。

考えこんでいるときは大抵ネガティブです。
そういう時は自分を客観視するのが良いようです。

三人称視点で自分の今を捉えてみる。今とても苛立っていて、このイライラを言葉にしたいけど、それがうまくできずにまたイライラしているよな…と。

客観視することで自分の状態を冷静に捉えることができるようになりますので、フラットな精神状態に自分を持っていくことができるようになります。

ネガティブなときはポジティブに無理に考えようとするのではなくて、まずは自分の気持ち、精神状態を自分で客観的に見つめてみる。それだけでネガティブ思考を弱めることができます。

「こうあるべき」と考えすぎない

自分や他人に対して「こうあるべき」「こうすべき」と考えてしまう癖がある人ほど、不安度が大きい状態にあるということがわかっているそうです。

願望と現実の差は葛藤となり、その葛藤はどのような人の心にも多かれ少なかれあるものですが、不安度が大きい人ほど葛藤も大きくなる傾向にあるということがわかっているそうです。

そのバロメーターとなるのが「べき」といった言葉をどの程度使っているのかにあるようです。

不安が大きい状態にある人は、その不安を取り除くためには大きな変化が起きなければいけないと考える傾向にあります。つまり、現実を大きく変えたいと思うようになります。それが「べき」という強い願望を表す言葉になって表れています。

その「べき」という考えが不満を大きくさせたり、現状を憂いて自分を責めるなんてことにつながります。

そういう傾向があるという自覚があったり、そういう状態に自分があると気づいた時には、一度現状を受け止めてみる。そういう思考習慣を持つと良いそうです。

そうすることで現実を否定的に見る気持ちが弱くなる=バランスを欠いた過度に強い願望を抱きにくくなるそうです。

色々な感情が多いほうが幸福度は高い

「幸せになりたい」とは誰もが思っているものかもしれませんが、こうすれば幸せだ、こうすれば幸せだと断言できる類のものではないと、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンは指摘しているそうです。

幸せという感情そのものは、それだけで存在し得るものではなくて、苦労や苦難などの色々な思いを味わってこそ感じれるものなので、幸せと感じれそうなことだけを追求したところで幸せという感情を味わえるわけではないそうです。

単純化すると、お腹いっぱい食べて幸せを感じれるのは空腹だったからみたいなところですね。

幸せと感じるには辛い出来事も必要なので、辛い出来事を失くせば幸せになれるというわけではありません。

そういう意味では、嫌だと思う事、辛いと思う事も、それがいずれ自分を幸せにしてくれる土壌になるということは間違いがなく、むしろ苦労や苦難が多い人ほど、後で返ってくる喜びは多いし大きいということです。

逆境はチャンスだし、それを乗り越えようと一歩踏み出した時点で半分勝ったも同然です。

まとめ

「考えすぎる」ということは、誰にでもあると思います。

パッと見では考えすぎてないように見えるだけで、どこかで思い悩んであれでもないこれでもないと悩みに悩んで、あれこれ考えを巡らせていると思うのです。

そんな「考えすぎ」な状態を脱するためのあれこれを細かく丁寧に教えてくれているのが「」ではありますが、考えすぎを脱するために必要なのは、”それ以上に考えずにやってみる”というシンプルな行動にあるようです。

それができるようになれば、おそらく考えすぎという状態に陥ることはないかと思います。

 

これは個人的に思う事ではありますが、「考えすぎ」という傾向にある人は”じっくりと考えに考えたけど、それでもだめだった”という経験がすでにあるんじゃないかな?と思います。

そこで自分なりの学びとして、”考えが足りなかったからだ”という結論に達したので、より一層考えるようになった。でも、またダメだったから、さらに考えるようになり…と繰り返して今があるんじゃないかな?と思うんです。

ただ、”情報を絞り、短時間で決断を出したほうが良い成績を出した”ということが本にも書かれていますので、必要なのは”今できるベストですぐにトライ”ぐらいのフットワークの軽さなのかなと思ったりします。

そういうスタンスを持ったほうがいいのかなと1ミリでも思ってもらえたら、うれしく思います。

引用元・参考元書籍

タイトル 「考えすぎない」人の考え方
著者 堀田秀吾
amazon評価(記事執筆時点) ★★★★☆(4.0/5)

それでも考えすぎるなら是非一読を

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